こんにちは。
医療法人社団 愛生会
新秋津・秋津駅前まつばら歯科
歯科技工士の根本です。
今回は顎関節症のお話です。
1.顎関節症は決して他人事ではありません
実は、日本人の40%が顎関節症(がくかんせつしょう)になると言われています 。🧏🏻♂️
特に、働き盛りの20代から40代の女性に多発する傾向があります 。
もしかすると、皆さんもすでに顎関節症かもしれませんし、この先なる可能性もあります 。
もし、以下の症状に心当たりがあるなら要注意です 🙅🏻♀️
* 口を開けにくい、閉じにくい👄
* 顎から音(カクカク、ジャリジャリ)がする
* 顎や耳の周りの痛み
* 頭痛や肩こり
今日は、この顎関節症について、その症状、原因、セルフケアまで徹底的に解説していきます。
2. 顎関節症の主な症状
顎関節症の症状は多岐にわたります 。
・顎の痛み…顎関節周辺や咀嚼筋の痛み。
・関節雑音…顎を動かすとカクカク、またはジャリジャリと音が鳴る。
・開口障害… お口が十分に開かなくなる。
その他にも、顎周辺だけでなく、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴りといった全身の症状を引き起こすこともあります 。
3. なぜ顎関節症になるのか?原因は「多因子要因」
顎関節症の原因は「多因子要因」と言われており、一つの原因だけではなく、いくつかの要因が複合的に影響して発症すると考えられています 。
具体的な原因としては、以下のようなものが挙げられます 。
・ 精神的な要因: ストレス、無意識の食いしばりや歯ぎしり 。
・姿勢の悪さ: スマホ📱やPC💻の作業で下を向いていると、無意識に噛みしめてしまい、それが悪影響を及ぼします 。
・ 生活習慣: 頬杖をつく、片側だけで噛むといった習慣 。
・顎の酷使: 大口を開けすぎる、硬い物を噛みすぎる 。
4. 顎関節症の分類
顎関節症は、主に以下の4つに分類されます 。
① 筋肉性
原因は、歯ぎしりや食いしばりによる過剰な咀嚼筋の緊張です。顎の周りの筋肉が痛むことによって起こります 。
対策としては、筋肉をリラックスさせてあげることが有効です 。
② 関節性
原因は、顎の関節の炎症や、関節の間にある関節円盤のずれが挙げられます 。
症状としては、顎を動かしたときに「カクッ」と音が鳴ることが多いです 。音だけでしたら気にしなくても大丈夫ですが、それが原因で痛んだり、口が開かなくなったりしたら注意が必要です 。
③ 変形性関節症
原因は、加齢などによる関節のすり減りや変形です 。
主な症状は、顎を動かすと「ジャリジャリ」と音がしたり、長時間顎を使用することによってだるさを感じたりします 。
④ 心因性
原因は、ストレスや精神的な不安定さによって噛みしめてしまうことです 。
このタイプの特徴は、顎の関節や筋肉に痛みを感じるにもかかわらず、身体や顎そのものに異常が見受けられないことです 。基本的にリラックスした状態になると痛みが消える傾向があります 。
5. 自宅でできる予防とセルフケア
顎関節症の予防と軽度な症状の緩和のために、日常生活でできることがあります 。
予防のポイント
* 良い姿勢を保つ。
* ストレスをためない。
* 食事に気をつける。
* 噛みしめないこと。
特に注意したいのが「噛みしめる癖」です 。普段から無意識に上下の歯を接触させてしまう癖をTCH(Tooth Contact Habit:歯列接触癖)と呼びます 。ずっと噛みっぱなしになっている方は、顎に大きな負担がかかるため特に注意が必要です 。
セルフケアの方法
*筋肉のリラックスとストレッチ: 顎や咀嚼筋(側頭筋、咬筋など)の筋肉をほぐすストレッチを行いましょう 。
* 顎の安静: 基本的には顎のリラックスを心がけます 。
* 温める: 顎の周りを温めてあげるのも良いとされています 。
様々なセルフケアがありますが、重篤でなければまずやっていただきたいことは一つです。それは「安静にする」ということです 。
6. 専門的な対処方法(治療)
セルフケアや安静にしても症状が改善しない場合や、痛みが続く場合は専門的な治療が必要になります 。
① マウスピース治療
基本的な対処方法として、マウスピース(スプリント)治療があります 。マウスピースを装着することで、顎と顎の関節の間に隙間ができ、顎がリラックスした良い状態になります 。
② 薬物療法
痛みを伴っている場合は、痛み止め(鎮痛剤)を服用していただくことがあります 。痛み止めには、鎮痛作用だけでなく、抗炎症作用を持つものもあるため、症状に応じて使用します 。
③ 理学療法
ご自身でのケアだけでなく、専門家による理学療法も効果的です 。また、口が開かなくなっている方に対しては、専門家の指導のもとで開ける訓練を行う場合もあります 。痛くてもゆっくり開けていく訓練をします 。
④ 外科的治療
噛み合わせの調整や、顎の動きを良くするために関節を削るなどの外科的処置が行われる場合もありますが、これは最終手段となります 。
7. まとめ:まずは安静、治らなければ病院へ
今回のまとめとして、顎関節症の症状が出た際に最も大切なことは「安静にする」ことです 。
*痛いと感じたら、まずは数日間、顎を安静にしてください。これだけでだいぶ症状が違うことがあります 。
* 安静にしても治らない場合や、痛みが続く場合、口が開かない状態が続く場合は、速やかに病院(歯科口腔外科を標榜している医療機関など)へご相談ください 。👨⚕️
