歯科技工士インターンシップレポート ―まつばら歯科の3日間に密着
こんにちは。医療法人社団愛正会 新秋津・秋津駅前まつばら歯科です。
先日、当院に歯科技工士学校の実習生さんをお迎えし、三日間の職業体験をしていただきました。初日は、入口に「Welcome!」の看板を出してお出迎え。少し緊張した面持ちの実習生さんでしたが、スタッフ一同、笑顔でお迎えしました。今回はその3日間の様子を、少しだけ皆さまにご紹介させてください。「歯医者さんの裏側では、こんな人たちが、こんなふうに歯を作っているんだ」と知っていただけると嬉しいです。
医院入口の「Welcome!」ボードでお出迎え(実習1日目)
そもそも「歯科技工士」ってどんなお仕事?
むし歯や歯を失ったところに入れる被せ物(クラウン)・詰め物・入れ歯・マウスピースなどを、患者さん一人ひとりのお口に合わせてつくる、いわば「歯のものづくりの専門家」です。まつばら歯科には院内に技工所(ラボ)があり、精密な補綴物を院内で製作できる体制を整えています。
一人ひとりのお口に合わせてつくる補綴物
なぜ、当院がインターンシップを受け入れているのか
歯科技工士は、これからの歯科医療を支えるとても大切な存在です。しかし全国的に若い担い手が不足しており、「学校では学べる時間が限られている」「就職する前に、実際の現場を見てみたい」という声も少なくありません。
そこで当院では、これから技工士を目指す方に現場のリアルを体験してもらう場をつくりたいと考え、インターンシップの受け入れを始めました。安全管理を最優先に、すべての機器・用具の使い方を丁寧に説明しながら、「わからないことは遠慮なく質問してくださいね」という雰囲気を大切にしています。
3日間のスケジュール
今回の実習は、デジタル技工とアナログ技工の両方を体験できるよう、一日ごとにテーマを決めて組み立てました。
1日目|医院見学・基礎学習デー
初日は、まず医院全体のご案内からスタートしました。受付・待合スペースから、27台すべてが個室になっている診療室、そして被せ物や入れ歯をつくる院内ラボまで。「患者さんが来院してから、お口に被せ物が入るまで」の一連の流れを、実際に歩きながら俯瞰してもらいました。ふだん学校で学ぶ技工の作業が、医療全体のどの部分にあたるのかを体感してもらうのが狙いです。
続いて、歯を削る「形成」の歯科医師体験に挑戦。模型を相手に、被せ物が入るスペースをつくるために歯を削っていきます。削る量が足りなければ被せ物が入らず、削り過ぎれば歯に負担がかかる――そのさじ加減の難しさを、実習生さんは身をもって感じたようでした。
模型で「形成」(歯を削る)を体験
午後は、お口の中を小さなカメラでなぞって型取りする口腔内スキャナー(IOS)を体験。さらに、実習生さんご自身のお口の中もスキャンしてもらい、「患者さん側の気持ち」も味わってもらいました。粘土のような材料を使わずに数分で型取りが終わる感覚に、驚いていた様子です。
ラボへ移動し、いよいよデジタル技工へ。3Dプリンターがデータをもとに模型やパーツを一層ずつ造形していく様子を見学し、続いてジルコニアに色を染み込ませる「浸透ステイン」と、それを専用の炉で焼き固める「焼成」までを体験。焼き上がりは翌日のお楽しみ、ということで初日を終えました。
ジルコニアに色を染み込ませて焼成
2日目|CAD/CAM デジタル技工デー
2日目は、前日に炉へ入れておいたジルコニアを取り出すところから。焼き上がった補綴物に色を重ねる「ステイン・グレーズ」を体験しました。細い筆で何層にも色を重ねて再現していきます。集中力と根気のいる作業に、実習生さんは真剣そのものの表情で向き合っていました。完成へ近づいていく――その手応えが、実習生さんのモチベーションにつながったようです。
午前は、前日にスキャンしたデータから、パソコン上で被せ物の形を設計する「CADデザイン」の基本へ。噛み合わせの高さや、となりの歯との接触の強さを、画面上で数値やカラーマップを見ながら少しずつ調整していきます。手作業のイメージが強い技工の世界にも、パソコンの作業、デジタルの作業が増えています。
パソコン上で被せ物を設計(CAD)
午後は、デジタル技工の応用としてマウスピースの製作に取り組み、続いてレジン(歯科用のプラスチック素材)をミリングマシンで削り出す工程へ。ブロック状の材料が、機械の中で少しずつ歯の形に削られていく様子を間近で観察しました。「設計したデータが、目の前で本物の形になる」というデジタル技工ならではの流れを、ひととおり体験できた一日です。
ミリングマシンで削り出しの工程を体験
3日目|セラミック・仕上げデー
最終日は、座学で頭を整理するところから。ジルコニア・PEEK・セラミックといった代表的な素材について、それぞれの硬さ・見た目の自然さ・向いている症例の違いを学びました。「どの材料が一番良い」ではなく、患者さんのお口の状況やご希望に合わせて使い分けることが大切だ、という考え方を共有しました。
続いて、歯の色を見極める「シェードテイキング(色合わせ)」の実習へ。シェードガイドと呼ばれる色見本を歯に当てて、明るさや透明感を読み取ります。同じ歯でも、窓際の自然光と診療室の照明とでは色の見え方が変わるため、光の条件まで意識する必要があること――色を「合わせる」ことの奥深さを体験しました。
そのあとはジルコニアの研磨で、表面をなめらかに磨き上げる工程を体験。ガラスのように光沢を出すグレーズとの仕上がりの違いも学びました。これは研磨に使う道具を、どの順番で・どの強さで使うかが重要です。回転数や当てる強さで悪戦苦闘しながら、真剣に向き合ってくださいました。
道具を使い分けながら、研磨で丁寧に仕上げていく
最後は院長との面談で3日間を振り返り、これからのキャリアについてもじっくり話す時間を持ちました。こうして、あっという間の3日間が幕を閉じました。
院長との面談で3日間を振り返り
「デジタル技工」と「アナログ技工」の両方を学ぶ意味
ひとくちに歯科技工といっても、いまは大きく分けて二つの流れがあります。ひとつは、口腔内スキャナーやパソコン、ミリングマシンを使う「デジタル技工」。もうひとつは、手作業で色や形を仕上げていく「アナログ技工」です。どちらか一方だけではなく、両方の良さを理解してこそ、患者さんにとって本当に良いものが作れます。当院のインターンシップで、あえて三日間に両方を詰め込んだのは、そんな思いからです。
たとえば初日に体験した口腔内スキャナー(IOS)は、お口の中を小さなカメラでなぞるだけで型取りができる機器です。実習生さんもノートパソコンの画面を見つめながら、スキャナーを手に模型をなぞり、リアルタイムに立体データが立ち上がっていく様子に見入っていました。従来のように粘土のような材料を口に入れてお待ちいただく必要が少なくなり、「型取りが苦手」「オエッとなってしまう」という患者さんの負担を減らせます。こうした技術は、むし歯治療の詰め物・被せ物づくりから、複雑な症例まで幅広く活かされています。
お口をなぞって型取りする口腔内スキャナー(IOS)
ノートパソコンとつないで、口腔内スキャナーの操作を体験
スキャン → 設計 → 削り出しの流れ
お口の中をスキャンしたデータをもとに、パソコン上で被せ物を設計(CAD)し、その設計どおりにミリングマシンが材料を削り出します(CAM)。実習生さんはこの一連の流れを、実際に自分の手で体験しました。データが立体の「歯」に変わっていく過程は、見ていてわくわくするものです。
ミリングマシンに材料をセットし、削り出しの工程を体験
「削る」「設計する」「色をつける」――ものづくりの奥深さ
実習生さんが特に驚かれていたのが、色付け(ステイン)や研磨の奥深さでした。天然の歯は、一本の中でも根元と先端で色が違い、光の当たり方で表情を変えます。それを何層にも色を重ねて再現していく作業は、まさに職人技。髪の毛ほどの細部まで手を止めずに向き合う実習生さんの横顔は、3日目にはすっかり技工士の表情になっていました。「思っていたよりずっと繊細で、時間もかかるんですね」という言葉が印象的でした。
細部を丁寧に仕上げていく
こうしてつくられた被せ物は、見た目の自然さだけでなく、噛み心地や長持ちにも直結します。当院が力を入れている審美歯科や、インプラント治療の仕上がりも、こうした技工士の手仕事に支えられています。
院内にラボがあることの、患者さんにとっての意味
まつばら歯科では、口腔内スキャナーやCAD/CAM、3Dプリンターといったデジタル機器と、技工士の手仕事を組み合わせています。院内で製作・調整ができるため、細かな色や形の要望にも対応しやすく、精度の高い補綴物をお届けできます。たくさんの歯を失った方へのオールオン4のような大きな治療でも、この体制が大きな強みになります。
なぜ「被せ物の精度」がそんなに大切なのか
被せ物や詰め物は、ただお口にはまればよいというものではありません。歯と被せ物のわずかなすき間に汚れがたまると、そこから再びむし歯になったり(二次カリエス)、歯ぐきの炎症の原因になったりします。だからこそ、髪の毛よりも細かい単位で形と適合を追い込む技工士の仕事が、患者さんのお口の健康を長く守ることにつながります。
ぴったり合った被せ物は、歯周病の予防という観点からも大きな意味を持ちます。せっかく治療した歯を長持ちさせるためには、日々のケアと定期的なメンテナンスに加えて、土台となる補綴物そのものの質がとても重要なのです。実習生さんにも、この「見えないところへのこだわり」が患者さんの未来を守るのだ、という技工士の誇りを感じてもらえたのではないかと思います。
AI・デジタルの時代でも、人の手が必要な理由
技工の世界にもデジタル化やAIの波が来ています。それでも、患者さん一人ひとりのお顔立ちや笑ったときの表情に合わせて、色や形の最後の判断をするのは、やはり人間にしかできない仕事です。デジタルの効率と、人の目・手の繊細さ。その両方を大切にできる技工士こそ、これからの時代に求められています。
3日間を終えて
最終日の面談では、実習生さんから「難しいことばかりでしたが、実際に手を動かすことで、技工士の仕事の面白さと責任の重さの両方を感じられました」という言葉をいただきました。最初はうまくいかなくても、繰り返すことで確実に身につきます。今回の「あの時の経験」が、これからの技工士人生のどこかで必ず役に立つはずです。
当院のスタッフ一同、実習生さんのこれからの成長を心から応援しています。今回の実習にあたっては、ご協力いただいた関係医院の皆さまにも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
歯科技工士・スタッフを目指す方へ
まつばら歯科では、ものづくりが好きな方、患者さんの笑顔のために技術を磨きたい方を歓迎しています。デジタルとアナログの両方に触れられる環境で、一緒に学び、成長していきませんか。当院の理念や雰囲気は当院についてのページや、院長・スタッフ紹介のページでもご覧いただけます。見学・インターンシップのご相談も、お気軽にどうぞ。
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新秋津・秋津駅前 まつばら歯科|怖くない・優しい 歯医者
日付: 2026年7月9日 カテゴリ:スタッフブログ