こんにちは歯科技工士の宮林です。
昨日はオールオン4というインプラントの外科手術が行われ、私たち技工士も全員参加させていただきました。
そこで高齢者が迎える歯科治療のあり方――口腔内の状態にに合わせた治療の選択について考えていきたいと思います。
高齢になると、歯科治療の考え方も少しずつ変わってきます。若い頃は「悪い歯を治して、できるだけ元の状態に戻す」ことが中心でした。しかし高齢者の場合は、残っている歯の本数や歯周病の状態、噛む力、顎や粘膜の状態だけでなく、全身状態、食事の内容、手入れのしやすさ、通院の負担なども含めて治療を考える必要があります。
まず、できるだけ自分の歯を残す治療があります。むし歯や歯周病を適切に管理し、多少の問題があってもすぐ抜歯するのではなく、今後どの程度その歯を維持できるのかを考えます。特に噛み合わせを支えている歯や、義歯を安定させるために重要な歯は、残す意味が大きい場合があります。
一方で、歯周病が進行し、動揺が大きい歯や感染を繰り返す歯などは、抜歯して口腔内を整理する治療が適する場合もあります。すべての歯を残すことが、必ずしもその方にとって最善とは限りません。
歯を失った場合には、ブリッジ、部分義歯、総義歯、インプラントなどから選択します。残存歯が十分で、支台歯として利用できる場合にはブリッジが適することがあります。多くの歯を失った場合には、取り外しのできる部分義歯や総義歯が現実的な選択肢になります。また、全身状態や手術への負担、清掃能力などを十分に考慮できる場合には、インプラントを選択肢に加えることもできます。
さらに高齢者では、**「しっかり噛めること」だけでなく「無理なく使い続けられること」**も重要です。例えば、非常に精密で高機能な補綴物を作っても、本人が清掃できなかったり、定期的な通院が難しかったりすれば、長期的には負担になることがあります。そのため、あえてシンプルで清掃しやすい義歯を選ぶことも、立派な治療の選択です。
そして、全身状態が低下してきた場合には、積極的な治療から口腔内を清潔に保ち、痛みをなくし、食べる楽しみを維持する治療へと目的を変えていくことも大切です。
高齢者の歯科治療に「これが正解」という一つの答えはありません。残っている歯、噛む力、清掃能力、全身状態、生活環境、本人の希望を総合的に考え、治療する・残す・抜く・補う・あえて経過を見るという複数の選択肢から、その人に合った方法を選ぶことが重要です。
歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、介護職、そしてご本人やご家族が一緒になって考えることで、単に「歯を治す」のではなく、その人らしく食べ、話し、生活するための歯科治療につながっていくのではないでしょうか。
まつばら歯科は患者様の悩み、要望にこたえていく用意があります。ぜひ来院されてご相談ください。

