こんにちは。東村山・秋津の歯医者、新秋津・秋津駅前まつばら歯科で、インプラントの被せ物などをつくる歯科技工士の本田です。先日、インプラントの部品を開発している株式会社E-Joint様(所沢)から橋本様をお招きし、院内で勉強会を開きました。ふだん私が毎日さわっている部品を「つくった側」から直接お話を聞ける、とても貴重な時間でした。後日、橋本様から製品の資料もいただきましたので、その内容もあわせて、技工士の目線で学んだ6つの工夫をお伝えします。東村山・秋津でインプラントをご検討中の方にも、治療の裏側を知っていただけたらうれしいです。
講師の橋本様(中央奥)のお話を、技工士・スタッフで聞きました
私の仕事は、お口の中の「見えない部分」をつくること
歯科技工士は、歯科医師の指示のもとで、被せ物や入れ歯、インプラントの上にのせる歯などをつくる仕事です。患者様と直接お話しする機会は多くありませんが、お口に入るものの形や色、かみ合わせを、裏側から支えています。
まつばら歯科には院内に技工士がいるので、歯科医師とすぐに相談しながら仕事を進められます。院長・スタッフと「この方にはどんな形が合うか」を話し合えるのは、院内技工ならではの良さだと感じています。
中でもインプラントの被せ物づくりは、目に見えない小さな部品の精度が仕上がりを大きく左右します。だからこそ、その部品がどんな考えでつくられているのかを、一度きちんと知りたいと思っていました。
東村山の歯医者が解説|インプラントは「3つの部品」でできています
はじめに、東村山のまつばら歯科で行っているインプラントのしくみを、簡単にご説明します。インプラント治療は、歯を失った部分の骨に人工の歯根を入れ、その上に歯の形をした被せ物をつける治療です。
インプラントは「被せ物」「アバットメント」「人工歯根」の3つでできています
患者様の目に触れるのは、いちばん上の被せ物だけです。しかし、かむ力を受け止めて長く安定して使えるかどうかは、歯ぐきの中や骨の中にある、見えない部品の精度に大きく左右されます。今回の勉強会のテーマは、まさにこの「見えない部分」でした。
東村山・秋津エリアでも、インプラントを選ぶ方が増えています。見えない部品の工夫を知っていただくことは、治療を安心して受けていただくことにもつながると考えています。
講師は「技工士の困りごと」から製品をつくる会社
E-Joint様は、所沢にある歯科技工所です。インプラントの技工を主力とし、手術の計画に使うガイドから最後の被せ物まで、一貫して手がけています。
驚いたのは、技工所でありながら医療機器を製造販売する許可を持ち、「HARKINDO(ハーキンド)」というブランドで自社製品を開発していることです。きっかけは、歯科技工士である社長の「自分の作業を、もっと正確に、もっと楽にできないか」という思いだったそうです。いただいたカタログを見ると、特許や実用新案を取った工夫がいくつも並んでいて、現場の悩みを一つずつ形にしてきたことが伝わってきました。
橋本様ご自身も製品の図面を描かれていて、歯科医師や技工士から「ここを少し短くしてほしい」「こんな形がほしい」という声を受けて、試作を重ねているとのこと。同じ技工士として、とても励まされるお話でした。当日は、先日の日本口腔インプラント学会で発表された内容を中心に説明していただきました。
学会で発表された内容を、スライドで一つずつ説明していただきました
学び① インプラントは「被せ物」から逆算して計画する
最初に印象に残ったのは、手術の前の「計画」のお話です。インプラントは、骨に人工歯根を入れてから、その上に被せ物をつくります。順番だけを見ると、被せ物は最後の工程です。
ところが、人工歯根の位置や角度が少しずれるだけで、被せ物の形に無理が出たり、歯ぐきとの境目が掃除しにくくなったりすることがあります。そこで、最終的な被せ物の形と位置を先に考え、そこから逆算して人工歯根の位置・角度・深さを決める、という考え方があります。カタログでは「トップダウントリートメント」という言葉で紹介されていました。
被せ物のゴールを先に決めてから、人工歯根の位置を計画します
計画には、歯科医師の指示書、お口の中の型取りのデータ、骨の形を立体で確認できるCTのデータの3つを使います。パソコン上で計画した位置どおりにドリルを進めるための、マウスピースのような器具が「サージカルガイド」です。E-Joint様では、計画の最終確認を歯科医師と画面を共有しながら行っているそうです。
サージカルガイドの金属の筒が、計画した位置と向きにドリルを案内します
技工士の仕事は「手術のあと」から始まるものだと思われがちですが、実は手術の前から、被せ物をつくる側の視点が役に立つ場面があります。ゴールの形を知っている技工士が計画の段階から関わることの大切さを、あらためて感じました。
サージカルガイドについて
・パソコン上の計画を、実際の手術に正確に移すための器具です
・すべての治療で使うわけではなく、骨の状態や治療計画によって歯科医師が判断します
学び② 骨にやさしい「熱を抑えるドリル」の工夫
人工歯根を入れるときは、専用のドリルで骨に小さな穴をあけます。このとき、ドリルと骨がこすれて熱が生まれます。骨は温度が上がりすぎると傷みやすいとされ、目安として47℃という数字がよく挙げられます。体温からわずか10℃ほど上がっただけの温度です。
ハーキンドの「月光ドリル」は、先端が三日月のような独自の形をしていて(特許)、骨を「削る」というより「切る」ように穴をあける設計です。カタログでは、日本口腔インプラント学会で発表された実験として、模擬骨で温度の上がり方が小さく抑えられたこと、斜めの面でも先端が滑りにくかったこと、くり返し使っても切れ味が落ちにくかったことが紹介されていました。
先端が三日月形のドリル。段付きのタイプもあります(カタログより)
段付きの形のドリルを、さきほどのサージカルガイドと組み合わせると、ドリルを交換する回数を減らせる設計にもなっているそうです。ドリルは技工士が直接使う道具ではありませんが、手術の負担を少しでも小さくするために、道具の側でもこれだけの工夫が重ねられていることに驚きました。東村山でインプラントの手術に不安を感じている方にも、こうした工夫があることを知っていただけたらと思います。
学び③ インプラントの型取りは「12面のスキャンボディ」で位置がずれにくくなる
最近のインプラント治療では、口腔内スキャナーという小さなカメラでお口の中を撮影し、立体のデータにして型取りをする方法が広がっています。型取りの材料が苦手な方にとっては、負担が少ない方法です。
このとき、人工歯根の位置と向きを読み取るために「スキャンボディ」という目印の部品を取りつけて撮影します。私たち技工士は、撮影したデータと部品の形のデータをパソコン上で重ね合わせて、人工歯根の位置を割り出します。正直なところ、この重ね合わせがうまくいかず、時間をかけて調整することもあります。
ハーキンドのスキャンボディは、頭の部分が12の面でできていて、同じ面積の面が一つもない形になっています。カタログでは、スキャナーが形や角を読み取りやすく、正確にスキャンできる独自の形状(特許)として紹介されています。一部がうまく写らなくても、残りの面で重ね合わせやすいというお話に、思わず「それは助かる」と声が出ました。
面の大きさがすべて違うスキャンボディ。軸の色はインプラントのメーカーごとに分かれています(カタログより)
重ね合わせの精度を色で示した画面。技工士どうしで質問が止まりませんでした
学び④ インプラントの土台の「細かい溝」が、接着を支える
白い被せ物と金属の土台(チタンベース)は、専用の接着剤(セメント)でつなぎます。ここには、技工士が毎日のように悩んでいるジレンマがあります。
技工士が悩む「接着のジレンマ」
・接着剤が入るすき間を広くとると、しっかりくっつく
・でも、すき間が広いほど、位置がわずかにずれる余地が生まれる
・すき間を狭くすると位置は正確になるが、接着剤が入りにくくなる
新しい「チタンベースⅢ」は、土台の表面に細かい溝がたくさん刻まれています。溝に接着剤が入りこむことで、すき間を小さくしながら接着の力を保つ、という考え方です。
新しいチタンベース。表面の細かい溝に接着剤が入りこみます(カタログより)
カタログには、日本口腔インプラント学会で発表された実験の結果も載っていました。被せ物を引きはがすのに必要な力を比べたもので、新しい溝の形は、以前の溝の形より大きな力が必要で、以前の形に表面をざらざらにする処理(サンドブラスト)を加えたものと同じくらいの強さだったそうです。
新しい溝は、表面処理をしなくても、処理をした以前の形と同じくらいの強さでした(カタログの数値より作図)
「サンドブラストは、やり方によって結果がばらつく」というお話にも深くうなずきました。人の手による処理は、どうしても差が出ます。部品の形そのもので安定させるという発想は、技工士にとって心強いものです。患者様にとっては、「被せ物が外れにくい」「かみ合わせがずれにくい」ことにつながる大切な部分です。東村山でインプラントをご検討中の方にも、ぜひ知っていただきたいポイントです。
ほかにも、歯ぐきになじみやすいピンクゴールド色に仕上げられていること、一部のタイプでは、インプラントとのつなぎ目のすぐ上の形が、まわりの骨や歯ぐきへの影響を考えた論文の考え方に沿ってつくられていることも教えていただきました。歯ぐきが薄い方では、土台の色が透けて見えることがあるので、色への配慮もうれしいポイントです。
学び⑤ インプラントは「外せる」ことも大切な設計
インプラントの被せ物は、一度つけたら終わりではありません。長く使っていただく中で、点検や修理のために取り外すことがあります。そのため、「必要なときに外せる」設計がとても大切です。
新しいチタンベースは、ネジを通す穴の内側にもネジ山が切ってあります。ここに専用の器具をねじこむと、インプラントの中心にまっすぐ力をかけて、土台を取り外せるしくみです。被せ物を接着したあとの土台でも使えるそうです。
穴の内側のネジ山に専用の器具をねじこんで、土台をまっすぐ外します(カタログより)
また、接着の作業中にネジの穴へ接着剤や砂が入らないように守る、樹脂製の「セーフティプラグ」も紹介していただきました。細かなことですが、ネジの穴がきれいに保たれていることは、将来の点検や修理のしやすさにつながります。
セーフティプラグで、接着のときにネジの穴を守ります(カタログより)
こうした考え方は、何本ものインプラントで歯をまとめて支えるオールオン4や、骨の量が少ない方のためのザイゴマインプラントのように、設計が複雑になる治療ほど大切になります。東村山でインプラントを長く使っていただくためにも、点検や修理のしやすさは欠かせない考え方です。
学び⑥ 角度を付けても締められるドライバーと、道具の寿命
インプラントの土台は、小さなネジで人工歯根に固定されています。奥歯や歯の向きによっては、ネジの穴に対してまっすぐドライバーを入れられないことがあります。
ハーキンドのドライバーは、対応するメーカーの純正のネジのまま、最大20度まで角度を付けて締められる設計です。ネジの穴を斜めに逃がせると、前歯の表側や奥歯のかむ面に穴が出るのを避けやすくなり、見た目や強さに配慮した被せ物の設計がしやすくなります。持ち手に近い部分が短くつくられていて、お口を大きく開けるのがつらい方でも使いやすいように工夫されています。また、ドライバーにはわざと弱い部分が設けてあり、強い力がかかりすぎたときには、ネジやインプラントより先にドライバーの側に力が逃げるよう考えられています。
最大20度まで角度を付けて、ネジを締められます(カタログより)
一方で、角度を付けて力をかけるぶん、ドライバーの先はすり減りやすくなります。カタログにも、角度を付けて使うときは締める力の上限を守ること、強い力でくり返し使うと変形するおそれがあることがはっきり書かれていました。使用回数の目安を決めて交換することが大切だ、というお話もありました。すり減った道具では、決められた力でネジが締まらないおそれがあります。患者様からは見えない道具の管理も、インプラントを長持ちさせる大切な仕事だと、あらためて感じました。
東村山のインプラント治療にもつながる、6つの工夫のまとめ
インプラントの「見えない工夫」と、患者様にとっての意味
| 学んだこと | 何をする工夫か | 患者様にとっての意味 |
|---|---|---|
| ①被せ物から逆算する計画 | 被せ物のゴールを先に決め、人工歯根の位置を計画する | かみやすく、お手入れしやすい被せ物につながる |
| ②熱を抑えるドリル | 骨を「切る」ように穴をあけ、摩擦熱を抑える | 骨への負担に配慮した手術につながる |
| ③12面のスキャンボディ | デジタルの型取りで、人工歯根の位置を正確に読み取る | 型取りの負担が少なく、合いの良い被せ物につながる |
| ④細かい溝のある土台 | 溝に接着剤が入りこみ、被せ物をしっかり固定する | 被せ物が外れにくく、かみ合わせがずれにくい |
| ⑤外せる設計 | 土台を傷つけずに外せる。ネジの穴を接着剤から守る | 将来の点検や修理がしやすい |
| ⑥角度を付けられるドライバー | 斜めからでもネジを締められる。道具は回数を決めて交換 | 見た目や強さに配慮した被せ物の設計ができる |
いちばん心に残ったこと ―「現場の声が、製品になる」
勉強会の後半は、ほとんどが意見交換の時間になりました。私やスタッフの質問にも一つずつ答えてくださり、「その声が次の製品につながります」と言っていただきました。
一つひとつの質問に、丁寧に答えていただきました
技工士の仕事は、完成したものが患者様のお口に入ると、ほとんど目に触れなくなります。それでも、「こうすればもっと良くなる」という現場の小さな気づきが、部品の形を変え、やがて多くの患者様の治療を支えていく。いただいたカタログを読み返すと、その一つひとつの工夫の裏に、誰かの「困った」があったことがよくわかります。その流れを目の前で見せていただき、自分の仕事への向き合い方が変わるような時間でした。
東村山のまつばら歯科でも、インプラント治療は、歯科医師だけでなく、歯科衛生士、歯科助手、そして歯科技工士がチームで進める治療です。歯科医師の診断と手術、技工士の設計と製作、その間をつなぐ情報のやりとりが正確であるほど、患者様のお口に合ったインプラントに近づきます。
東村山でインプラントをご検討中の方へ|よくあるご質問
Q.インプラントの被せ物は、外れたり欠けたりすることはありますか?
A.かむ力が強い方や、歯ぎしり・食いしばりのある方では、長く使う中で被せ物が欠けたり、ネジがゆるんだりすることがあります。だからこそ、今回学んだような「外しやすく、直しやすい」設計が大切になります。気になることがあれば、早めにご相談ください。
Q.サージカルガイドは、どんな時に使うのですか?
A.パソコン上で計画した人工歯根の位置・角度・深さを、実際の手術に移すための器具です。使うかどうかは、骨の状態や本数、治療計画によって歯科医師が判断します。気になる方は、カウンセリングの際にお気軽にお尋ねください。
Q.インプラントは、入れたら通院しなくてよいのですか?
A.いいえ。インプラントは虫歯にはなりませんが、まわりの歯ぐきや骨が炎症を起こすことがあります。天然の歯と同じように、毎日の歯みがきと、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。定期検診では、被せ物やネジの状態も確認します。
Q.歯科技工士は、どんな仕事をしているのですか?
A.歯科医師の指示のもとで、被せ物や入れ歯、インプラントの土台などを設計・製作する専門職です。患者様と直接お話しする機会は多くありませんが、お口に入るものの形や色、かみ合わせを、陰で支えています。
東村山・秋津のインプラント治療を支える歯科技工士として
今回学んだことは、さっそく東村山のまつばら歯科でのインプラントの設計や、歯科医師との打ち合わせに活かしていきます。学んだ内容は私だけのものにせず、院内の歯科医師やスタッフにも共有します。型取りのときに気をつけたいこと、被せ物を仕上げるときの確認の順番、道具の交換の目安など、チーム全員で同じ知識を持つことで、患者様の治療がよりスムーズになると考えています。
患者様の目には見えない部分ですが、「見えないところこそ丁寧に」。これからも学び続け、長く安心して使っていただける被せ物づくりに取り組んでまいります。橋本様、貴重なお時間と資料をありがとうございました。
橋本様、ありがとうございました
インプラントについてのご相談
「歯を失ってしまった」「入れ歯が合わない」など、お困りのことがあれば、東村山・秋津の歯医者、新秋津・秋津駅前まつばら歯科までお気軽にご相談ください。東村山でインプラントをご検討中の方のご相談も承っています。当院の治療例は症例集でご覧いただけます。
※インプラントは自由診療です。費用は料金表をご覧ください。治療期間・費用・リスク(手術後の腫れや痛みなど)は症例により異なりますので、カウンセリングで詳しくご説明いたします。
参考資料
- 株式会社E-Joint HARKINDO 総合カタログ、ハーキンドチタンベースⅢ、月光ドリルブラック、ハーキンドスクリュードライバー、ハーキンドサージカルガイドの各資料(2026年)
- 本文中の実験結果は、上記カタログで紹介されている日本口腔インプラント学会学術大会(第52回・第53回・第56回)での発表によります
- ※ご紹介した部品・器具は、勉強会で学んだ内容としてご紹介しています。実際の治療で使う材料や方法は、患者様ごとに歯科医師が判断します
医療法人社団愛正会 新秋津・秋津駅前まつばら歯科
✨チェア数東京No.1✨ 診療ユニット27台・全て「個室」
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最終更新:2026年10月15日

