- こんにちは。
最近はまさに「三寒四温」な季節が続いていますね。冬が終わったと思い、灯油を余らせないようにストーブを無理矢理つけて消費したと思えば、今度は寒くなり灯油を追加で購入するなど、季節とのいたちごっこを楽しんでいる歯科技工士、佐藤れいあです。
普段、私は前歯のケースを手掛けさせて頂くときは、なるべく左右対称になるように目を凝らしながら製作します。
無論、美しくするためです。
しかし最近、とある歯科技工のセミナーを受講してその考えを覆されました。
「必ずしも左右対称が美しいわけではなく、口の中で調和がよりとれるならば、非対称のほうが美しい場合もある。」
目から鱗でした。
そもそもなぜ左右非対称が美しくない、という概念に囚われていたのでしょうか。
少し、芸術論に照らし合わせて考えてみたくなりました。
「アルカイック」と「コントラポスト」
というワードを耳にされたことはありますでしょうか。
アルカイック美術は、紀元前7世紀中頃から始まった芸術様式で、下ような直立不動で左右対称、体の重心は縦一本に集結している形が特徴です。
当時の芸術家たちは、完全無欠で均等のとれた形を「理想」とし、これを追求したといいます。
この様式が約200年続いた後現れたのは、より自然で、生命感に溢れた形の「コントラポスト」という様式です。
コントラポストとは「対置」という意味で、上のように片脚に重心を置き、もう一方は力が抜けたような、そして身体はゆるやかなS字を描く、リアルさを追求した形になります。
皆さんにはどちらが「自然」に見えますか。
恐らくほとんどの方が後者を指すと思います。
そしてその次に、どちらが皆さんにとって「美しい」ですか。
こちらは難しい問いで、個人の価値観によるものだと思います。
どちらの美も否定はできません。
歯についても同じです。
例えば、ご自身の歯ならびは完璧ではなく、被せ物を一つだけ入れるシチュエーションでは矯正をする場合を除いて、このような問題が出てくると思います。
完璧でない歯並びに合わせて対象的な被せ物をつくるか、はたまた全体のバランスをみて主張しないような非対称のものをつくるかが悩みどころです。
前歯の治療をご検討の方は、一度ご自宅の鏡の前で観察されてみるのも良いかもしれません。
私たちは歯のお色合わせで、皆様の治療室に参りますが、もちろんお色だけでなく形についてもご相談承ります。
お気軽にお話し下さいませ。